「ウェザーニュースLiVE」

この記事は、YouTubeなどで24時間生放送されている気象情報番組「ウェザーニュースLiVE」について書いたものである。 すべて私の個人的な意見であることを、最初に明記しておく。 この記事を通して番組を批判したり、何かを変えたりといった目的は一切なく、あくまで個人的に感じたこと、感想などをまとめることを目的としている。 そのことをご理解いただいた上で、続きをご覧いただければ幸いである。

はじめに

ここ2ヶ月ほどだろうか、暇さえあれば「ウェザーニュースLiVE」を視聴するようになった。 普段の私をある程度ご存じの方は、大変驚いていると思う。 今まで、「テレビは一切見ない、ラジオも一部の番組以外は一切聞かない」というライフスタイルを貫いていた私である。 特定の番組、それもどちらかというとテレビに近い性格の動画番組を頻繁に見るなどということは、かなり珍しい。

そんな「ウェザーニュースLiVE」について感じていること、私にとってこの番組がどういう存在なのか、ということを、ブログとして書き留めておこうと考えた。

きっかけ

まずは、なぜこの番組を知り、ここまで頻繁に視聴するようになったのか、というきっかけを書いておこう。

「ダンゴムシじゃありません」

話は、2022年の8月頃にさかのぼる。 何気なくインターネットを見ていると、偶然以下の記事を発見した。

記事の内容や紹介された動画そのものはもちろんのこと、テレビなどで放送されている気象情報とはまったく違う、和やかな雰囲気が強く印象に残った。

大量の切り抜き動画

上記の記事で紹介された動画を見た影響なのか、その日以来、YouTubeのおすすめ動画として、ウェザーニュースLiVEの切り抜きが大量に表示され始めた。 面白そうなものを適当にピックアップして見ていたのだが、ある動画の説明文に「24時間生放送」という記述を発見した。 「気象情報だけで24時間も番組が続くのか」と、大きな衝撃を受けたことを覚えている。

山口剛央氏のすごさを知る

それから数ヶ月後、今度は先ほどの動画にも登場した、気象予報士・山口剛央氏のことを紹介する記事を発見した。

この記事を最後まで(現在は会員登録しなければ途中までしか読めないらしいが)読んでの率直な感想は、「何か大変なことが起きても、この番組、この方の説明を聞けば安心できそうだ」というものだった。 特に、関西から関東に引っ越して地震の多さに困惑している私にとっては、「地震について詳しい」ということが、非常に心強い存在になりそうだという印象を持った。

そこで、YouTubeの公式チャンネルで配信されている、気象情報や地震情報の短い動画を、定期的に確認するようになった。

そして生放送を見始める

それからしばらく経過した今年3月25日、私が所属するAccessible Tools Laboratoryの総会が、神奈川県で行われた。 しかし、その日はあいにくの雨だという話だった。 出発前に最新の天気を(できればリアルタイムに近い形で)確認できる手段はないかと考えたときに、ふと「ウェザーニュースLiVE」を思い出した。 これが、私が初めてこの番組を生で視聴した日である。

その日は、午前8時から11時の「サンシャイン」をほぼすべて、次の「コーヒータイム」を少し見ていたように記憶している。 その中で、番組が30分単位で一区切りになっている(より正確には毎時0分により大きな切れ目がある)ことや、気象解説とその他の話題の比率など、大体の雰囲気がわかってきた。

それ以来、毎日のようにこの番組を視聴するようになったのである。

ウェザーニュースLiVEの魅力を考える

そんな「ウェザーニュースLiVE」にはどんな魅力があるのか、改めて考えてみたい。

天気に関する情報が豊富である

まずは、なんと言っても「気象情報に割かれる時間が多く、説明が詳細である」ということがある。 当たり前のようにも聞こえるかもしれないが、私はあえてこのことを記載している。

私は、生まれつきの視覚障害があり、まったく目が見えない。 普段から、音声情報に頼って生活している。

私たちにとって、天気に関する情報、特に「雨が降るかどうか」は、非常に重要だと思う。 目が見えない人が外を歩くとき、「白杖」と呼ばれる白い杖を持つため、必ず片手が塞がってしまう(盲導犬と一緒に歩く場合も、片手で「ハーネス」を持つため、似たような状況になる)。 ここに傘が加わると、両手が塞がってしまうことになり、非常に不便である。 さらに、重要な情報である「音」が、雨が傘に当たる音にかき消されてしまうという問題もある。 だからといって、レインコートを着ると今度は物理的に耳が塞がってしまい、やはり危険である。 このような理由から、出かけるときに雨が降るかどうかという情報は、可能な限り把握しておきたいのである。

しかし、天気予報というのは非常にアクセスしづらい情報の1つだ。 ラジオならともかく、一般的な天気予報では、天気図などの画像を見せながら「このあたりは雨、明日は雲がこんな風に移動していく」などと説明される。 視覚的に非常にわかりやすい提示方法だが、私たちには意味がわからない。 しかし、すべてを口に出して、細かく説明できるほど、テレビなどの天気予報には時間的な余裕がないのだろう。

一方の「ウェザーニュースLiVE」は、24時間の番組である。 1回1回の気象解説に使える時間はそれほど変わらないかもしれないが、そもそもが気象情報専門の番組であり、解説が何度も行われることから、言葉による説明もある程度多くなる。 画面上には適宜画像が表示されているのだが、映像を見なくても、内容は理解可能なことが多い。 このことが、少なくとも私にとっては最大のメリットであり、番組の魅力だと感じている。

親しみやすい番組である

私がこれほど頻繁に番組を見ている理由の1つは、番組の雰囲気が非常に親しみやすいものであるという点である。 気象解説にしても、その他の話題にしても、常にゆったりとした空気が漂っている。 また、一定のトーンで番組が進行するため、気象情報を得るためだけでなく、作業用BGMとしても最適だと感じている。

キャスター・解説員が面白い

ウェザーニュースLiVEの切り抜き動画がこれほど多く作られているのは、出演するキャスターや気象解説員(気象予報士)それぞれが、非常に魅力的な個性を持っているからではないかと思う。 特に、番組中に時々挿入されるキャスターと解説員のフリートークは、いつも非常におもしろい。 冒頭でご紹介した「ダンゴムシ」の動画は、再生回数1000万回を超えているという。

個人的な要望など

その一方で、今後より良くなってほしいと感じる点もいくつかある。

音だけではわからない状況がいくつかある

上記で述べたとおり、この番組は、音声のみでもある程度気象情報が理解できるようになっている。 しかし、映像コンテンツである以上、音だけではわからない状況が、残念ながら存在する。

  • 天気を「アイコン」で紹介するコーナーがある
  • 気象解説において、画像を指し示したり切り替えたりしながら、「これが今の状況です。今後、ここがこんな風に動いていきます。○○色で表示したところでは雨になるかもしれません」などと伝えられることがある

などが、主要な項目だろうか。

なお、これとは逆に、音を聞かずに映像のみを見た場合、必要な情報が得られない局面が存在するかもしれない。 しかし、私自身が映像情報を知らないため、実際のところはよくわからない。

「ウェザーミュージック」で同じ曲が何度も放送される

不定期で「ウェザーミュージック」という、音楽を放送するコーナーがある。 私がこの番組を見始めるのとほぼ同時期に開始されたコーナーのようだ。

面白いコーナーではあるのだが、朝から晩までずっと番組を見ていると、同じ曲を2回以上聞くことがよくある。 だからといって、曲数が少ないのかというと、決してそうではない。 また、時期によって曲を変更しているらしく、聞き慣れない曲が放送されることが最近増えてきた。

「どのタイミングでどの曲を放送するか」がどのようにして決められているのかは不明だが、最低限、1日に複数回同じ曲を放送することがないよう、内容を工夫していただきたいと思う。

「ウェザーニュース」のアクセシビリティ対応が十分になされていない

この番組は、ウェザーニューズ社が提供する「ウェザーニュース」というプラットフォーム(アプリ、Webサイト)の一部である(と、私は認識している)。 それ故に、番組中にアプリの機能が紹介されることがある。

しかし、私のような全盲の視覚障害者が、iPhoneの画面読み上げ機能であるVoiceOverを用いて、ウェザーニュースアプリを使って必要な情報を入手することは、残念ながら決して容易ではない。 その要因の1つが、アプリそのもののアクセシビリティ・ユーザビリティが低いことではないかと思う。

アクセシビリティとは、利用者の年齢や障害、使っている端末などに関係なく、すべての人がサービスを受けられるという性質である。 一方のユーザビリティとは、ある特定の特徴を持った利用者(例えば画面読み上げ機能を使っている視覚障害者)が、サービスを快適に受けられるという性質である。 これらの分野に関する専門的な事項、ウェザーニュースの問題点などについて詳述することは、この記事の目的ではないため、詳細は差し控えるが、将来的に種々の問題が改善され、より使いやすいプラットフォームになることを期待している。

なお、私はAndroid環境を所有しておらず、Android版ウェザーニュースアプリのアクセシビリティを検証することはできない。

最後に

「ウェザーニュースLiVE」は、YouTubeで配信されていることもあってか、かなりの知名度を誇る番組である。 事実、チャンネル登録者数は100万人を超えているのだそうだ。

気象情報が軸にありつつ、様々な話題が登場する、非常に面白い番組だと感じている。 さらに、魅力的なキャスターや解説員のやりとりは、テレビ番組などではなかなか見ることのできない光景である。

その一方で、視覚障害者の立場で視聴すると、いくつかの課題に直面することも事実である。 特に、番組とは直接関係しないが、アプリ「ウェザーニュース」については、適切なアクセシビリティ対応がなされることを期待している。 気象情報のような生活に密接する情報を扱うプラットフォームは、十分にアクセシブルであることが重要なのではないかと思う。

これからも、「ウェザーニュースLiVE」の視聴を通して、動向を見守っていきたい。

追記:「ウェザーニュース」と「ウェザーニューズ」

この記事をご覧いただいた方から、以下のようなご指摘があった。

この記事では「ウェザーニュースLiV」や「ウェザーニュースアプリ」と書かれている。 しかし、前述のPRESIDENT Onlineの記事のタイトルは「ウェザーニューズ」と書かれている。 これは意図的なのか、ミスなのかが気になった。

実は、私も以前似たような疑問を持ったことがある。 本来私が書くべき内容かどうかはわからないが、把握している範囲でその答えを書いておこう。

前述のように、「ウェザーニュース」というのは、スマートフォンのアプリやWebサイトなどで展開されている、気象情報のプラットフォームだ。 その中のコンテンツとして、ウェザーニュースLiVEが存在している。

一方の「ウェザーニューズ」は、上記のウェザーニュースを運営している会社の名前である。 民間の気象情報会社で、ウェザーニュース以外にも、法人向けサービスなどを多数行っている。

ということで、気象情報会社「ウェザーニューズ」が提供している天気予報サービスの「ウェザーニュース」の、1コンテンツである「ウェザーニュースLiVE」という関係性である。 なお、これらは私がいろいろな情報を調べてまとめたものであり、細かな呼称など、間違いが含まれているかもしれない。